2011年2月18日金曜日

虫歯の病原因子

「向日葵の会」田辺 圭
虫歯は日本人の約9割の人が罹っているもっとも身近な「生活習慣病」です。 

虫歯の原因は砂糖の摂取です。 その病原因子として、口腔内のストレプトコッカス・ミュータンス菌に由来する酵素GSase(グルカンスクラーゼ)が同定されています。 


まず、口腔内に砂糖があると、GSaseにより粘着性多糖であるグルカンが合成されます。 
次に、グルカンは食べカスや他の口腔細菌を巻き込んで歯垢(プラーク)を形成し、内部で口腔細菌が増殖します。
さらに、歯垢内部で口腔細菌によりが産生されることで歯が脱灰し、虫歯が進行します。


従って、GSaseの働きを阻害することで、虫歯の発症リスクを効果的に低減することができると考えられ、色々な食品素材からGSase阻害物質が検索され、緑茶カテキンなどのポリフェノール類に強い阻害効果があることが判っていました。

だが、より選択的に強い効果を発揮する阻害物質の探索にはGSaseの分子基盤を明らかにすることが必須でしたので、今回、静岡県立大学の伊藤 圭祐 助教、伊藤 創平 助教らがそのGSaseの立体構造を世界で初めて明らかにすることができたので、虫歯予防の物質探索に大きなてがかりを得たものと関心を集めています。

虫歯の発症原因となる歯垢(プラーク)は、口臭歯周病誤嚥性肺炎の原因にもなり、その発生リスク低減は生活の質(QOL)の向上という予防医学の面からも大切なことです ネ