2011年3月31日木曜日

定員オーバー

「なご美会」大津令子
今回の東北・関東を襲った地震と津波の被害は甚大であり、特に津波」による場合は人生の明暗を分ける「決断」が被災地のあちこちでみられたようだ。

道新の朝刊の記事で、岩手県陸前高田市での出来事です。
JR駅前で写真店を経営しているK.Aさん(56)と妻のK,Oさん(55)の夫婦は、地震が起きた時、津波警報がでたので、離れて独り暮らししている母の光子さん(87)を助けるため、ワゴン車で向かった。 地震発生から10数分経っていたそうです。 

 「おふくろ、早くしろ」と声をかけ、急いで薬と保険証をリュックに入れ、母の家を出た。 すると、近所の独り暮らしの女性3人が道路にいた。 全部で6人。 車に乗れるのは5人だけだ。 顔を見合わせると、「私が残ります」と、妻のK,Oさんが言った。 夫のK,Aさんも頷いた。 「後ろの荷台に乗れるでしょ」と母の光子さんが叫んだが・・・。 K,Oさんは笑顔で首を振った。 ワゴン車はK,Oさんを残して急発進した。

避難所の入り口で降ろされた光子さんらは、ごう音とともに建物をなぎ倒す「津波」を見た。 「おふくろを頼みます」と、近くの人に言い残し、K,Aさんは車を猛スピードで引き返し、津波の中へ突っ込んだ。 「ああっ」。 車が見えなくなってすぐ、大波が街をのみ込んだ。 

助かった光子さんは、つらくて、眠ることができないでいる。 息子は嫁を残したことを悔やんだに違いないが、引き返す時「命が危ないのは分かっていた。でも、行くなとは言えなかった」と、そっと避難所を抜け出して、近くの公園でお経を唱え、人目を忍んで嗚咽を漏らすそうです。

大津波は、仲の良い家族と近所の人たちに「だれか一人が死ぬ覚悟をしなければならない」という過酷な選択を迫った、という記事です。 とても悲しく、切ない出来事です。 

「法律」は、人が世の中の秩序に従い、安心・安全な生活ができるよう、常に遵守しなければならないものですが、人が定めたものです。 破っても良い場合があると思うのですが・・・。

おそらく、この記事については多くの人が、いろいろな思いを述べることでしょう。 家族で話し合ってみるべき内容だと思います。 いざという時のためにも ネ

2011年3月30日水曜日

2011年3月29日火曜日

福山秘府と円空

「なご美会」池田龍夫
今年の福島町史研究会の会報「永」に投稿する原稿ができました。

ここ2~3年、興味をもって調べている円空仏”についての内容です。 
江戸時代のはじめの頃に蝦夷地へ渡った彼は、何をしようとして行脚したのか? 
僧であるから、仏像を彫りながら、仏の教えを広めるために蝦夷地を歩くという巡錫(じゅんしゃく)をしたと言われているが、そうしなければならなかった強く明白な理由(わけ)があったのだろうか・・・などと、想像してしまいます。 

その理由の一つとして、わたしは昨年の「永」に投稿した「蝦夷地における十一面観音菩薩立像の意味するもの」の発表のなかで述べてみました。

わたしは円空さんを調べながら、「歴史の中を旅する」愉しみを味わっています ヨ

2011年3月25日金曜日

ほうれん草と牛乳

「野菜捨てるなら私に分けて」東北大学の川島先生が訴えています。(3月24日)


川島隆太教授(51)は、「脳トレ」ブームを巻き起こし、さらに「早起きと朝ごはん」運動を進めた結果、高齢者の認知症予防から子供たちの学力向上の効果までも引き出すことができることを実践してきました。 川島教授の研究所は仙台市青葉区にあり、津波の被害はなかったものの、電気以外のライフラインは止まったままで、水も給水車に頼っている状況だと言います。


川島教授によると、現在宮城県などで観測されている放射線量は1時間に0・2~0・3マイクロシーベルトのところが多く、もしもこのままの状況が1年続いたとしても被ばく量は0・3×24時間×365日=2628マイクロシーベルトになります。 これは自然に暮らす中で大気などから浴びる年間量と変わらないので、今の大気や食物などの放射線量では人体に影響はないと強調しています。 


今回は、不自由な生活を強いられている中、拡散する放射性物質に関する「風評」に科学者として声を上げたというわけです。 現在問題となっているのは「ほうれん草」「牛乳」だが、今後、海や大地のさまざまな食物にも波及することでしょう。 


その時、正確な情報を開示してもらい、「食の安全」を守ってもらいたいと切に望みます ヨ


2011年3月24日木曜日

雪待草

冬の終わりから
春先にかけて
白い花を咲かせる
「スノードロップ」とも言う。

エデンを追われたアダムとイブの処に降ってきた雪を、ある天使が彼らを励ますために「雪のしずく」の花に変えたという言い伝えがあります。

花言葉は、希望・慰め・楽しい予告です。  
季語は、です。

最近、この花の成分からでしょうか、「認知症」の症状改善に役立つ働きをするものがみつかり、今ではその物質を精製し「くすり」として発売されるようになりました。

200万人以上の患者さんが、もの忘れと生活・精神の症状に悩まされているのが現実です。 85歳以上の方の4人に一人は認知症とも言われており、そのための新しいくすりの開発が待たれていました。 今まで1種類だった薬の他に、やっと新薬が加わることになりました。

そして、希望・慰め・未来の楽しい予告とは、まさに被災地の皆さんにも必要な言葉です ネ

2011年3月21日月曜日

春分の日

先日の日記に「記念キャンドル」として紹介した埼玉の友人(T.F)から、ボランティアに行ってきた模様を書いたメールが届きましたので、コピペして載せます。 たぶん友人も了解してくれるものと思います。


さいたまアリーナに行ってきました。
大勢の皆さんが福島から避難してこられました。
私も初めてのボランテアでしたが、搬入と
ダンボールのつなぎ合わせをやってきました。
皆さん床には毛布1枚のため、床にしいてもらう
ためです。
一つの町が引っ越してくるというのは大変なことです。
バス40台です。何をどうしたらいいのか分かりません。
今はドームの周囲の通路に皆さんが休んでいます。
高齢者も多いです。ここにいるのは1週間が限度だと思います。
出来るだけ早く宿舎に移っていただく必要があります

福島県の双葉町の1200人の方々の避難です。 さいたまアリーナの使用期限は今月いっぱいのため、4月からは別なところを探さなくてならない。 町の5分の1の人口が避難移動したことになります。 

ところで、双葉町の双葉病院と言えば、初めて原発の爆発があった日に病院職員らがまったく見当たらずに、高齢者達だけが病院に残っていて被ばくしたと報道されたところだったと思うのですが・・・。  

爆発は、その後水素爆発であったことが分かり、情報もじょじょに報道されはじめてやっと落ち着きを取り戻した感じがしていました。 情報がない又は聞こえてこなければ、随分と不安なものです ネ

2011年3月19日土曜日

記念キャンドル

「向日葵の会」松川久子
埼玉県に住んでいる友人からメールが入りました。
計画停電をしている地区に暮らしているから、どうしているか心配してたところでした。

「結婚式のキャンドル」を灯して妻と一緒に夕食を食べたという内容です。あの太い円柱の「ろうそく」です。 

たぶんどこの家庭でも押し入れの中に眠っていたものだと思います。 それが今回の震災によって「陽の目」をみたものです。 
一家団欒の明かりとなって、夫婦の会話にも弾みがついていることでしょう。

まだまだ不便な期間が続くことでしょうが、少しでも早く電気系統が正常化し、いつもの電灯のあかりの元での生活に戻ってほしいものです。

なぜなら、せっかくの「記念キャンドル」が燃え尽きてしまうことは、結婚式の想いでも消えてしまいそうで、切ないから ネ

2011年3月16日水曜日

高齢者支援サポーター講座

会場風景
昨夜、昨年に引き続いて「高齢者支援サポーター講座」が町の福祉センターで行われました。

昨年は第1回目ということもあったでしょうが、会場いっぱいの約40人以上いましたが、今年はその半数の20人後半の人数だそうです。 自ら応募したこともあるでしょうが、話を聞く姿勢は真剣です。 

わたしは、「高齢者を知ろう」の医学的側面からの講義を受け持ちました。 健康寿命の話から始まり、障害をきたし健康寿命を短くする疾患をあげ、早期に見つけてあげることが大切だと強調しました。 介護を必要とする疾患は、脳血管障害が約30%あり、老衰が次につづき、認知症、骨折・転倒、関節疾患となります。 

ですから今年の各論は、認知症からはじめて、膝の変形性関節症、骨粗鬆症・骨折というながれで講演しました。 とくに認知症の原因として、約半分は「アルツハイマー型認知症」です。 1906年にドイツの精神医学者が発表したアウグストという51歳の女性の症例が初めての報告です。 彼女は4年半もの忘れの中核症状のほかに、ある周辺症状(BPSD)に悩まされたそうです。 アミロイド蛋白が脳細胞にベタベタふっついて(老人斑)神経細胞を破壊していくので脳の萎縮がすすみます。 その変化が記憶をつかさどる海馬(かいば)という部位におおくおこると、記憶がどんどん犯されます。 時間の区分で言うと、1分以内の短期記憶よりは近時記憶という数分たってからの記憶がスッポリ抜け落ち、物の名前や電話がきて話した相手も電話があったことも忘れる(エピソード記憶)ことが特徴です。 

回復可能な認知症もあるので、周りの人がとにかく早期に気づいてあげることができれば、認知の方の人生も変わってきます。 空間認知機能をみる簡便な検査法があります。 「山口のキツネ・ハト模倣テスト」というのが右写真です。 

あなたは、10秒以内にできます カ

2011年3月13日日曜日

地震(2)

松前「向日葵の会」花田 冨
さっそく絵手紙が舞い込んできました。


励まし応援していきましょう!



(地震のマグニチュードがM8.8から、日本での地震観測史上最大のM9.0に修正され、未曾有の大震災となっています)

2011年3月12日土曜日

健康だより 第17号


地震(1)

昨日の午後、いつものように2時からの午後外来をしていて、突然の“めまい”に襲われたと思ったら、めまいではなく周りが揺れていた。 「院長 地震です」と言うスタッフの言葉に二度びっくりしてしまった。

四つ葉のクローバー
「オガクリ」の建物は、以前にも書いたことがあったと思うが、“館崎”という地名にもなっている岬の非常に堅固な岩盤の地層になっているところに建っております。 奥尻沖の地震や日本海・秋田沖地震など、ここ20年の間に何度かあった地震の時でさえ、「オガクリ」の建物はビクともせず、揺れるなどということはありませんでした。

ですから、まさか今回の“1分間ほどグラグラ”くる地震などということは思いもよりませんから、めまいと勘違いして驚いたのです。 それほど今回の地震の規模が大きかったというべきです。 

M.8.8という今までにない規模にくわえて、津波の早かったことといったら・・・。 
その後は、TVの画面に釘付けでした。  

亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の方々が少しでも早く復興できるよう祈念申し上げます。

2011年3月8日火曜日

コレステロールは高い、低い?

「なご美会」熊谷正春
最近、奥村 康先生が「LDL-コレステロ-ル(LDL-C)高値のほうが長生きするとの議論があるが、動脈硬化学会は当然反対である・・・」という文章で始まる『LDLは感染症に対し善玉として働く』という題のエッセイを日本医事新報No.4532のプラタナス欄に投稿しています。

動脈硬化学会の主張で、「LDL-C高値で有意に死亡率が減ることはなく、肝臓病等によってコレスレロール値が低下した患者が死亡するのは、原因疾患のためだから」と推論してましたが、最近の自治医大コホートで否定されたそうです。

そこで、奥村先生はLDL-C高値が原因となり寿命を延ばすことになる可能性はまったくないのだろうかと考え、上記の感染症との関係を考察したようです。 

大槻らの伊勢原市での疫学調査ならびに米国ノースカロライナ州での20年間の追跡調査から総コレステロール値が高い方が明らかに肺炎とインフルエンザで入院する人が少なかったし、死亡率も減少するというデータが示されました。 さらに動物実験でもマウスのLDL受容体をノックアウトし、LDLを高値にすると感染抵抗性が増し、死亡率が激減したという報告もあることを考えあわせると、本当に「悪玉コレステロールは悪いのか」という議論になります。 

動脈硬化という面から見れば「悪玉コレステロール」だが、他方感染症という面から見れば「悪玉?」とは言えないということで、なんとも不思議な話です ネ

2011年3月7日月曜日

道南ブロック会議

松前「向日葵の会」花田 冨
今年度3度目の会議で、函館市内の海の見える会場で行われました。

いつもの道南の4医師会の役員が集まり、意見交換すると同時に、来週行われる「北海道医師会定例代議員会」に提出する人事案件や質問事項を話し合いました。 今、道南で課題となっていることを道医師会に質問する事項も2件決め、その後は懇親の場となった。

わたしは、その後「北海道医師連盟」の会議のため、丘珠空港めざして函館を飛び立ちました。 今回HAC(北海道エアシステム)が自治体や各事業社からの援助があって継続営業することになり、安堵しているひとりです。 やっぱり便利ですよ ネ

2011年3月3日木曜日

桃の節句

「なご美会」熊谷正春

2011年3月2日水曜日

がんタウンミーティング

「がんタウンミーティング2011 in はこだて」が1月の末に渡島振興局(渡島保健所)の主催で行われました。 その時私は、ちょうど町の行事と重なったため出席することができず残念でしたが、当日の資料が手に入りましたので紹介します。

その中で、患者側の発表者として亀井百合子さんが「詩」を紹介したようです。 『病者の祈り』と題するものです。


「大事をなそうとして
    力を与えてほしいと神に求めたのに


    慎み深く従順であるようにと
     弱さを授かった
    より偉大なことができるように
     健康を求めたのに
    より良きことができるようにと
     病弱を与えられた
    幸せになろうとして
     富を求めたのに
    賢明であるようにと
     貧困を授かった
    世の人びとの賞讃を得ようとして
     権力を求めたのに
    神の前にひざまずくようにと
     弱さを授かった
    人生を享受しようと
     あらゆるものを求めたのに


    あらよることを喜べるようにと
     いのちを授かった
    求めたものは
     ひとつとして与えられなかったが
     願いはすべて聞き届けられた
    神のみこころに添わぬ者であるにの
     かかわらず
    心の中の言い表せない祈りは
     すべてかなえられた
    私はあらゆる人の中で
     最も豊かに祝福されたのだ」


なかなか良い詩です。 もう何の追加のことばも要りません ネ