2011年12月30日金曜日

仕事納め

河島英五の初版本とサイン
今年も今日が「仕事納め」の日となった。

色々なことがあった一年だが、何が来年に繋がっていくかと考えれば、ひとつは「胃がん検診をABC検診として実施すること」を挙げたい。 
勿論、円空さんと関連のことがらも…です。

「ABC検診」のメリットやデメリットを考えればメリットの方がとても多く、ちゃんとした「がん検診のデータファイル」を作成することで、将来にわたって個人はもとより自治体にとっても有益となること間違いなしでしょう。 その足がかりがやっとできたのが、今年です。

来年もひとつひとつ実行に移して行けるものをやっていきたいです ネ

2011年12月29日木曜日

坂の上の雲の主人公

「向日葵の会」花田冨
三年間に亘るNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」が完結した。 文明史家でもある作家の司馬遼太郎、まことに小さな島国の、さらに一つの島である四国の一城下町の松山に生を受けた三人の若者を主人公にして、文明開化をし西欧諸国に追いつき肩を並べようとやっきになって突き進んでいる明治という時代の前半を、坂を上るとその向こうに一筋の希望の「雲」が見えるという情景に見立てて書きあげた壮大なスケールの歴史ドラマです。

秋山好古・真之兄弟と、幼馴染の正岡子規がその三人です。 正岡は学校の教科書にも載っていて三人の中ではよく知られた人物で、ヨーロッパの自然主義の影響を受けて「写生・写実」による現実密着型の生活のあり様を詠むという新しい詩情を開拓した近代俳句の創設に尽力し、明治30年には俳句雑誌『ホトトギス』を創刊し、多くの弟子を輩出している。 

秋山兄弟のことは、正直言って司馬遼太郎の本を読むまでよく分からなかった。 日清・日露戦争で大活躍した二人ですから、戦前(第二次)ならば国民学校の教科書に詳しく載っている人物で子どもたちに大いに人気があったことでしょう。 特に真之は、日露戦争での日本海海戦の作戦を一手に引き受けて実行した作戦参謀で、日本海軍を勝利に導いた功績は大なるものがあっただけに有名だったと思う。  「本日天気晴朗なれ共、波高し」という、当日の海戦開始にあたっての名言は、真之の言葉だったと言います。 

海戦は、ロシア・バルチック艦隊の38隻のうち目的地のウラジオストックにたどり着いたのは、たったの4隻で完全なる日本海軍の勝利であった。 「丁字戦法」という作戦を取らなければ、もっと日本の打撃は大きかったろうし、ロシアが海戦を勝利していたかも知れない。 尚、好古は大陸にいて、騎馬隊を組織し、陸軍としてロシア戦(奉天会戦など)に大活躍した。

その勇猛果敢に明治という時代で大きく羽ばたいた三人の死因は、いずれも感染症であった。 子規は、21~22歳の頃に喀血して「結核」に罹った。 34歳という若さで「脊椎カリエス」で亡くなった。
真之は「盲腸炎」が進行し、「腹膜炎」で亡くなり(49歳)、兄好古は「壊疽」で足を切断するも、時期が遅すぎて「敗血症」となって亡くなった(71歳)そうだ。 いずれも抗生物質の使用できる現代であれば、はじめの病気で治っていた病であっただろうに・・・。

まだペニシリンが発見される以前の明治という時代の西洋医学の黎明期での出来事でした ヨ

2011年12月22日木曜日

大胆に、繊細に


今夜のカンブリア宮殿は、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)の社長の増田宗昭がゲストとして登場していた。 「Tカード」というポイントカードで有名なレンタルビデオの蔦谷と言えばお分かりでしょうか。

巷は今やカード時代です。 が、顧客の個人情報を持っているのは「Tカード」の特徴だそうで、他のマネーカード(エディなど)との大きな違いです。 コンビニなどで使用された「Tカード」は、購買情報も得ることができるため、次の商品開発などに有利で、その情報は広く利用されており、圧倒的に他のカードをリードし優勢を保っているそうだ。 

そうした企画は、いかに顧客を満足させるかという発想から行っていると増田社長は力説した。 頭と心が物事を考え判断していくとすると、絶対で判断したことの方が顧客満足につながるとも言う。 

「Tカード」は、20代が圧倒的に持っていて、60代後半の資産(貯蓄)を一番持っている年代はゼロという現実を知った増田さんは、今月東京の代官山に「蔦谷書店」をオープンさせた。 何の宣伝もしないのに連日予想した年代(団塊の世代)を中心に店内にはお客さんがたくさん集まり、いつもは人のいない代官山が大いに活気を帯びてきているそうだ。 今後の発展(成功か失敗か)が見ものだと期待している増田社長の笑顔が印象的だった。

対談を終わったあとの村上龍の感想は、「悪魔のように大胆で、天使のように繊細だ」と増田社長のことを評していた。 とても魅力的な人物なんです ネ



2011年12月19日月曜日

島の医者

「向日葵会」早瀬信子
道新の日曜朝刊の三面記事に、ある島の医師の話が載っていた。 道立天売(てうり)診療所に9年間勤務していた相原正彦(56)先生は、病に侵された為に札幌の病院へ転院して治療を受けています。 

医師一人に、看護師、事務員の三人体制でやってきた診療所は、今回の相原先生の無念の離島のため医師不在となり、診療所の継続が危ぶまれたが、道は当面の間、留萌市立病院や札幌医大などから交代で医師を派遣する方向で調整しているという。

神奈川県の循環器専門病院の副院長からの転身だった相原先生は、高度な設備もなく、診療は聴診器と五感が頼りで、「竹やりを持って戦に出ているようなものだった」と回想している。 頼りのフェリーが冬になると頻繁に欠航するため、一刻を争う急患搬送などではとても苦労したそうで、離島ゆえの診療の難しさを抱えた過酷な9年間だったとも振り返っています。 ほんとうにご苦労様と言いたいです。


財団法人日本離島センター(東京)の2009年の統計によると、日本国に人の住んでいる島は310島あるそうです。 多いとみるか、こんなもんだと言うかはわかりませんが、わたしはその数に驚きました。 そのうち、常勤の医師がいるのは147島、非常勤医のみが47島で、残りの116島には医師はまったくいません。 つまり約4割の島に医師がいないという現実です。

これらの「無医島」には、近隣の医師が巡回して診療にあたってくれているそうです。 道内では、奥尻、天売、焼尻、利尻、礼文の5島には医療機関があり、今回の天売島以外のところには常勤医がいますから安心です。 が、それでも実情は色々と難しいこともあるようです・・・ ネ

2011年12月14日水曜日

母の教え

「向日葵会」
順天堂大学の加齢制御医学講座教授の白澤卓二先生は「アンチエイジング」の第一人者です。 先生が曻地(しょうち)三郎さんという105歳の現役教育博士に会った時に教えられた長寿の秘訣「母の教え」でしたと、ある週刊誌で述べています。

現在106歳の曻地さんは、100歳を期して世界一周講演旅行を始め、今年で5回目を数えている。 訪れた国はなんと35カ国以上だそうです。 しかも、英語、ドイツ語など5カ国語の他に、101歳でポルトガル語を家庭教師をつけて学ぶ好奇心、チャレンジ精神の旺盛な人です。

その曻地さんのモットーは、「常に夢をもって努力すること」、「健康は影なる努力によって保たれる」ということです。 努力という言葉が印象的です。 

子どもの頃は体が弱く、3歳になった曻地さんに母親が「一口で30回噛みなさい」と教えてくれたそうです。 その母の教えを102年間実践し続けたおかげで、結果的にカロリー制限にもなり健康を維持出来ていると考えられます。 

医学会でも聖路加国際病院の名誉院長の日野原重明先生も100歳を迎えられて、すこぶる元気です。 先生の長生きの秘訣も、「少食(80歳からは1300キロカロリー/日)」と「挑戦すること」と言いますから、曻地先生と似ています。 先生は10の生活習慣を守ってもいるそうです。 週2回の診察、年170回の講演、海外出張は年5回などなど、本当に現役のドクターです。


さて、最近の研究によると、咀嚼には唾液分泌が増して消化吸収が良くなる効果、虫歯や歯周病を予防する効果のほか、脳の血流が増加し脳が活性化される効果があることも分かってきました。 

また、咀嚼をしながらMRI検査を行なうと、若い人の場合は咀嚼筋を動かしている脳の運動野だけが活性化されるが、高齢者のMRIは運動野だけでなく、前頭葉や側頭葉も活性化されていることがわかるのだそうです。
つまり咀嚼は脳の「アンチエイジング」につながっていたのです ネ

2011年12月12日月曜日

どぶから油

A;寧波市 (Googleより)
先週末は函館に一泊となった。 ある祝賀会がそのホテルで行われたため、インターネット予約しておいた。 

朝、部屋でいつもとは違う新聞(中央紙)を手に取ってみると、「どぶから油、食卓へ」というチャイナ ルポが一面を飾っていた。


どぶからでる油が食卓に出回っているー。 10年ほど前から福建、重慶、西安などで報じられてきた疑惑が、今回9月の中国公安省の捜査で裏付けられたという記事です。 消費者の不安が現実のものとなったわけです。 

淅江省寧波から車で約1時間の寧海県郊外の畑の一角で「地溝油(ティーコウユー)」(どぶ油)が作られていた。 寧海県から50キロも離れた村で農業をしていた夫婦は7年前、知人からもうかる仕事があるからと誘われた。 深夜、町のホテルやレストランを回り、調理室につながる排水溝のゴミを集め、釜で4時間ほど煮詰め、浮いてくる油をすくい取る。 その油は山東省済南のバイオディーゼル工場で不純物を除去され、河南省鄭州の業者が食用として販売していた。 

地元紙によると、経営者は月平均500トンの地溝油(どぶ油)を生産し、25万元(約300万円)ほどの利益を上げていたそうです。 四つ星ホテルなどにも納品されていたというから恐ろしい話です。

ルポはさらに続き、広東省の東莞と広州を隔てる川のほとりの倉庫で病気で死んだ豚の肉でベーコンが作られていたとか、同じ広東省の珠海郊外の畑では使用禁止の有機リン系の農薬ポレートを使って大根を栽培していたなどの内容です。

これに対し、中国政府も黙ってはいません。 中国当局が昨年検挙した食の安全をめぐる事件は13万件に上っていることから、食品安全法を施行し、監督強化や基準の統一を図るとともに損害賠償額を10倍にあげるなどの対策も進めている。

食の安全は、即「健康」に反映されるだけに、僅かばかりでも疎かにできないことです ネ

2011年12月11日日曜日

介護保険運協

「向日葵会」田辺圭子
先週の金曜日(9日)に、今年度2回目の福島町の「介護保険運営協議会」が役場で行われ、出席してきました。 

H12年から始まった介護保険制度は3年毎に見直されることになっているため来年がその節目の改正年にあたります。 委員の全員が参加した会議となり、「第5期」介護保険事業計画の進行状況など話合われました。 当然、1号被保険者介護保険料の見込みなども話題に上りました。

今年の「ふくしま町広報」にも記事が載ったことがありましたが、「介護保険は赤字・・・」というものでした。 平成22年度の決算では、単年度収支はマイナス150万円だが、実質収支はもっと多いマイナス1750万円だという内容です。 

介護給付費は総額4億3千万円余りで、介護サービスを受けたいという利用者も年々少しづつ増加してきているものの、給付費(利用者の使う金額)は予測した推計金額よりもかなり多くなってきてしまっています。 居宅(自宅など)のサービス量が増えていて、なかでもホームヘルパーサービス(生活介護、身体介護)が急増しているのが現状です。 

生活介護は、食事支度・洗濯・掃除など日常生活していくなかで是非とも必要な行為だが、自分ではどうしてもできない被保険者が一割負担でホームヘルパーに代わりにやってもらうというものです。 身体介護は、麻痺した手足のため、風呂に入れないとか、おむつ交換できない時の介助や、病院受診などで移動ができない時も介助を頼んでしてもらうことなどです。

いずれも、介助が無ければ一日たりとも暮していけない状況に置かれている被保険者が一割負担で生活していけるという制度なんですから、破たんされては困ります。 赤字が続けば、赤字解消の手段が講じられます。 財源確保は保険料金の値上げ・・・という非常手段になってしまいます。 

だが本当にそれでいいのでしょうか? 

先の「ふくしま町広報」では、急増しているホームヘルプサービスについての解説と見解を述べています。 「必要以上の過剰なサービスは自立を妨げるだけではなく、保険料増加にもつながります。 利用者も本当に必要なサービスかどうか見直してみましょう。」と、特集記事の最後を締めくくっています。 担当者の叫びに耳を傾けなければ、赤字の介護保険制度を維持していくために保険料の値上げという結果に本当になってしまいます。 

担当者達は、来年一月から介護保険の現状報告のために各町内会を廻るそうです。 しっかり報告説明を聴いて、より良い安定した制度にしていくために、町民みんなで知恵を出し合っていく必要があると思います ヨ

2011年12月6日火曜日

世界のマリモ

北海道の阿寒湖に生息している特別天然記念物のマリモが、実は渡り鳥(?)によって、主に北半球にある多くの湖に運ばれて生息しているということが釧路市教育委員会の若菜勇マリモ研究室学芸員らの遺伝子解析によって明らかになったという記事が、昨日の道新朝刊に出ていました。

つまり、日本国内はじめフィンランド、アイスランド、アメリカそしてサハリンなど34箇所の湖沼のマリモの分析から、北半球200カ所余りで生息が確認されているマリモの全てが「阿寒湖のマリモを起源とする」ということが解ったのです。 素晴らしい発見だと思います。

渡り鳥のコハクチョウやカモ類などの胃の内容物からマリモが確認されており、13万年前頃から各地へ広がったと考えられるそうです。 10年以上も前からマリモ研究をしてきた若菜さん(54)は「阿寒湖が世界中のマリモの古里ということに驚きを感じる・・・」と述べています。 きっと物凄く感慨深いものがあるということでしょう ネ

2011年12月5日月曜日

カラスの記憶

「なご美会」熊谷正春
今夕の道新の夕刊に「カラスの記憶力 人間以上?」という記事が載っている。 

宇都宮大学農学部の杉田昭栄教授らのグループが10年前からカラスの生態研究を行っているもので、今回はカラスの「色の記憶」についてまとめたものです。 一度色を識別すると、90%の確率で一年後でも同じ色を識別できるというものです。 

人間でも色彩を一年間覚えていることは難しいそうですから、カラスの優秀さ(?)がわかるというものです。 杉田教授らは、その他にも人間の男女の顔を見分けられることや、数の大小を認識出来ることも解明しているそうです。


やっぱり、そうでしたかというのが私の感想です。 と言うのも、今年ゴルフ場でパット練習している時に、カラーのニューボールを二度も立て続けにカラスに持って行かれたという事件がありました。 カラスが色を識別できるのか否かわからなかったので、頭を抱えていたが、今日の杉田教授の研究でハッキリわかりました。 

また、これもゴルフ場でのことですが、仮に持ち逃げされたボールを取り返そうとして、犯人のカラスを追いかけたり物を投げつけたりしたら、後で糞をかけられたり、頭を襲われたりするということを聞いたことがあったが、まさに人の顔を認識することもできるという今回の研究結果から十分理解できます。

カラスの能力の凄さを思い知らされた報道記事でした ネ

2011年12月2日金曜日

函館消化器病懇談会(H23)

「なご美会」熊谷正春
今年の「函館消化器病懇談会」の最後の例会が、今夜函館市内のホテルで行われた。 懇談会の忘年会も兼ねる会だったため、例年通り北大の加藤元嗣先生が講師として来函され、専門のピロリ菌関連のお話をして下さいました。 ABC検診の話です。

胃がんの住民検診(対策型)は、従来から「バリウムによるX線検査」と決まっています。 胃がん死亡率の減少効果がはっきりしている検診法は、バリウムを飲んで撮影される「胃X線検査法」だけだからというのが厚労省の言い分です。 厚労省には数多くの「○○斑会議」という名の会議があり、国民のためになる、国民に還元できる施策を決めています。 

2005年の祖父江斑会議でも「がん検診」についての決定を行っています。 その一つが、胃がんの検診については、住民の対策型として唯一「X線検査法」を推奨しています。 それ以外は、死亡率減少効果がわからないからという理由からです。

ところが、今夜の講演で加藤先生は、「広島大学の吉原先生がPG(ペプシノゲン)法でも胃がんの死亡率減少効果があるという証拠を2007年に発表している」という話をしてくれました。

Yoshihara M  et al; Scand.J.Gastroenterol 42: 760-764. 2007


この雑誌にすでに投稿していたのです。 ですから、PG法による胃がん対策型住民検診も可能であると国が認めてくれれば、自治体も直ちに採用に踏み切れるでしょう。 

今までの研究成果から、胃がんの発症にピロリ菌が関与していることは世界的に多くの研究で確認され、特に北大三内の浅香教授らの「ランセット」に発表した二次胃がんの研究によって確実に証明されたと言っても過言ではないでしょう。

道内では、今年われわれの行っている「健康フェスティバル」で小規模ながら{ABC検診」を実施しました。 来年の新年度からは福島町として「ABC検診」を実施する方向で計画が進行中です。 胃がんのリスクを検診した後、早期胃がんの発見のための二次検診としてバリウムX線検査や胃内視鏡(カメラ)検査を実施する「あたらしい胃がん検診」を構築すべきと考えます。 これからです ネ

2011年12月1日木曜日

恋するさくら

松前町の知人から『恋するさくら』という本を頂きました。 松前町が4年前から全国公募で行っている「夫婦の手紙全国コンクール」の第4回の優秀作品を載せた作品集です。

全国から3035通の手紙の応募があり、その中から最優秀賞・優秀賞の各一編、特別賞三編など計106通の手紙が納められているもので、海外(イギリス)からの作品も選ばれています。 

どれもこれも素晴らしい作品で、年代によって相手への呼び名や言葉がけの話し方、勿論物事の捉え方などの違いもわかり、ある意味で「夫婦(めおと)史」という見方もできるのではないだろうかと思います。

「夫婦の手紙」が現代社会の渇きを潤す「水」となることを願い、これからもコンクールを継続していくことを、実行委員会一同願うばかりです・・・という実行委のはじめの言葉どうり、桜の木の成長と共にコンクールも育って行って欲しいです ネ