2011年2月5日土曜日

血清ペプシノーゲン法と胃がん

「なご美会」熊谷正春
きょうは、ペプシン、ペプシノーゲンの補足です。


食べたものの蛋白を分解する酵素(ペプシン)は胃粘膜の細胞から分泌されるが、その前駆体として血中に存在するペプシノーゲンが胃酸の働きによって変化したものです。 ペプシノーゲンにはⅠとⅡがあり、ペプシノーゲンⅠ(PGⅠ)は主として胃底腺の主細胞から分泌され、ペプシノーゲンⅡ(PGⅡ)は胃底腺の他に噴門腺、幽門腺、十二指腸腺に存在します。 胃粘膜の萎縮が進むと、胃底腺領域が縮小していくためPGⅠの量やPGⅠとPGⅡの比率が減少していきます。 


したがって、血液中のペプシノーゲンのⅡに対するⅠの割合を調べると、胃粘膜の萎縮の広がりとその程度・胃液の分泌機能j、胃粘膜の炎症の有無が分かります。 胃がんは、そうした萎縮した粘膜(萎縮性胃炎)に高率に発生することが分かっていますから、血中ペプシノーゲンⅠとⅡを測定することによって胃がん危険度が分かるので、胃がんのスクリーニング検査として有用です。


PGⅠ値≦70ngかつPGⅠ/Ⅱ比≦3が基準値とされています。 30以下かつ2以下を強陽性、70以下かつ3以下を陽性、40以下または2.5以下を疑陽性と決めました。


胃がんの随伴率は、強陽性は2%陽性は1%疑陽性では0.1%陰性は0.01%となるそうです。 

この『血清ペプシノーゲン法』は、たった一滴の血液からがんの危険度が判るため、「血液による胃がん検診」と呼ばれています。 本当に便利になったものです ネ