2012年3月11日日曜日

3.11から1年

「なご美会」熊谷正春
道新の3.9付け朝刊の生活面に「変わる社会的弱者支援」という特別企画記事が載っていた。

東日本大震災により介護・看護が必要になる被災高齢者や障害者がいるだろうから、訪問看護の充実にもなるだろうという意図で厚労省は昨年4月に特例措置として人員一人でも開設できる訪問看護ステーションを認めました。 

本来の「訪問看護ステーション」は要員が常勤換算で2.5人必要とされています。 介護分野のケアマネジャーだけでなく、医療分野の医師の指示にも基づいたケアも行われるのが特徴なので、介護と医療の橋渡し役も担うというたいへん重要な仕事をしているのです。

新聞に紹介された一人訪問看護ステーションは、福島第一原発のある警戒区域から相当離れている福島市内の「まごころサービス福島」で、佐藤かつ代さんという66歳の看護師さんがスタッフです。 人員一人でいいので、事務所は自宅、電話も自宅用で十分で、開設にお金がかからないメリットが大きかったと言います。

ところが、実際は開設が進んでいないようです。 福島県では福島市に新たに一軒と飯舘村に一軒開設されることになったが、申請しても留保されるんだそうです。 仙台市、気仙沼市、石巻市、一の関市など20近い市町村で申請したものの一カ所も認可されていません。 「前例がない」 「従来あるステーションで十分」などが理由だそうです。 

今回の特例が当初2月末までという期限だったものを7カ月延長して9月末までとされたが、「延長は今回限り」とあくまでも例外的措置という姿勢を国は崩していないため、安定したサービスが望めないということも背景にあるようですが、佐藤さんのステーションの訪問看護対象者は今のところ二人だけです。 

NPO法人まごころサービス福島センター(福島市)の理事長の須田弘子さん(67)は、「今まさに介護や医療の手を求める被災者がいて、一人ステーションはその声に応えるために必要です。 行政は支援を求める人の側に立って判断して欲しい」と訴えていると記事は結んでいます。


さて、医療過疎地域でも慢性的な医師不足から医療のみならず介護にも十分に医師の手が回らないため、看護師がその役割の一端を担わなければならない事態が生じます。 診療時間内の訪問看護は、診療所の看護師が往診看護を行えるが、時間外や遠方の患者の場合などは診療所の看護師だけでは不十分な事態もあります。 

そんな時などは、訪問看護ステーションが地域に存在してくれると医療側も患者自体も助かることになります。 一人診療所医師の場合は、特に有用ですし、北海道のように地域が広域に及ぶ診療圏の場合は本当に有難いと感じます。

ところが、人員要件が2.5人では、地方の看護師不足の現状を考えると到底無理な話だと気づきます。 移動距離が長いというハンデが北海道にあります。 採算が合わないステーションでは、かりに一人の看護師が退職すると自動的に廃業に追い込まれることになるのです。 もったいない話なんですが・・・。

しかし、かりに今被災地の三県が特例で許可されている「一人訪問看護ステーション」制度が北海道の特に医療過疎地域に導入されるならば多大な恩恵が得られるものと確信します。 看護師免許を持っている人は田舎にも結構いるんです。 離れた部落(地区)毎に居るものです。 その地区の看護を必要とする患者だけ看るということになれば、それ程多くの患者を看るということにはならないので一人だけでも十分な訪問看護が可能です!

恩恵は患者さんばかりではなく、一人医師の診療所にももたらされるものですから、まずは道知事に一考していただきたいと思いますが、いかがでしょう カ