2010年7月28日水曜日

イーデス・ハンソンさんと介護度

イーデス・ハンソンさんと聞いて、甲高いカタコト風だが、しっかりした日本語を話す「変な」外人タレントさんと想い出す人も多いと思います。 確かに、その話しぶりが表情と共に目に浮かんできます・・・が、そんな個性的な彼女も、最近すっかりTVでもお目にかかれなくなってしまいました。 

それもそのはず、彼女は今、和歌山に移り住んでいるようで、今週の月曜日の道新に「数字では見えぬ本当の姿」という題名の論説原稿を書いています。

ハンソンさんには介護施設に入所している90歳の身内の方がいます。 ある時、介護度の更新が行われ、要介護度4だったものが、3に軽く変更されたと通知を受けたそうです。 本当のところは、歩けるという事実はないが、ハンソンさんが「一人で歩ける?」と聞くと、「歩ける」と答え、「どこまで行けるの? 食堂までは大丈夫?」と聞くと、「行ける・・・けど、それどこにあるのやろ」と言う会話になるそうです。 話からすると、移動に車いすの介助が必要で、すこし認知症もありそうです。

この通知を聞いた時のハンソンさんは、開いた口がふさがらなかったそうで、さっそく施設に聞いてみたら「えっ、3になった?」と、ハンソンさん達以上に驚いていたと言います。 市役所の調査員の来訪が、患者さんの担当職員が休んでいた土曜日だったため、多分患者本人との面接のみで終わってしまったことが軽度に変更になった原因・理由ではなかろうかと、施設側は申し訳なさそうな返事だったそうです。

介護申請した方を、客観的に正確に認定判断しようとすることは、非常に難しいものです。 介護認定審査会という合議制の会議が、介護認定の時に行われます。 まず調査員が患者さん本人や家族、施設の担当者らから聞き取りした内容がコンピューター処理され、その結果が介護度の一次判定として決定されます。 ですから、調査してくれる方(調査員)が、介護利用申請者の身体的、精神的現状を正確にチェックし、特記事項にも記載してくれなければ、一次判定のコンピューターの結果に不満をいだくことになります。 ハンソンさんの場合のように・・・。

だが、実際は先に書いたように、コンピューター判断のみで決定しないために、介護認定審査会が開かれて、主治医の書いた意見書をも見比べながら、総合的に利用者の立場にたった判定が行われるようになっています。 審査会での介護度の変更率は、委員の意見交換がよく行われる結果、けっこう高いものです。

ところで、これも確か新聞だったと思いますが、介護認定審査会というものがあるが、そんな所に高いお金を掛けるよりも、もっと介護の費用の方にお金を回した方がいいんだというような内容の意見もありました。 

が、ハンソンさんの身内の方のように現状とかけ離れた結果にならないように、調査員のみならず主治医の意見書の特記事項を話し合って、介護度の判定に不満がでないように審査委員となった人達は努力していることも忘れないでほしいと思います。

なお、ハンソンさんの場合は、不服申し立てという制度もあって、再度認定審査をしてもらうこともできるようになっていますからご安心を!

介護制度(H12年4月スタート)が始まって10年を迎え、来年制度の定期改定が予定されています。 この制度を有効的に利用し、満足した介護生活がおくれるように改正されることを望みます ネ