2012年2月1日水曜日

猛吹雪

本当に吹雪の中で立ち往生し、雪に埋もれて閉じ込められてしまうかという怖い体験をした。

今年の道南は例年にない積雪量です。 もちろん道央の岩見沢などのような報道されている処の量に較べたら少ないが、それでも多いと感じます。 

道路(国道228号線)の両側が人の背の高さ以上の雪の壁となって、先日除・排雪したばかりなのにまた同じくらいの高さにまで降り積もっている。 昨年までなら、国道と同時に歩道の雪も全部排雪し、その間にまったく雪を残さなかったのに、今年はどういう訳か国道と歩道の間に器用にも50~80cm幅の「雪の壁」万里の長城のように建設(?)している。 

そのため、車がわき道から国道に出る時や、人が自宅から道路に出るときなどは、一旦停止や最徐行または道路の左右を十分確認しないと、バッタリ車同士の衝突や車に轢かれてしまうということにもなりかねません。 

そんな状況の中、定期の往診日だったので、午後往診車に乗り込もうとしたら、猛吹雪です。 気温こそマイナス5度くらいだったが、風が横なぐりの北西の風(たばかぜ)だから、余計に厳しく感じる。 視界も悪く、オガクリから松前方面に向かって一軒目の患者宅に行くまでが尋常でなかった。 何度か対向車線にはみ出して運転していて、対向車が向かってくるライトにはじめてハット気づくくらい前方が見えづらかった。 視界5~10㍍くらいだっただろうか。

「福島町史」第二巻通説編上巻より
その後、福島方面に向かったところ、少し晴れ間がみえて回復の兆しかなと思わせる天候になった。 が、それも一時のことであった。 何軒か往診した後、オガクリに戻ってくる途中、日向という地区から慕舞(しとまい)を過ぎ、国道をわき道にそれて白符地区の七軒町という処に往診車を進めた。 そこら一帯はちょうど岬になっている地形で、その昔(江戸時代)切り立った崖になっていたため交通の難所とされていた処です。 少し緩やかな下りカーブだが、車は難なく進んだ。 

患者宅はSさんという80歳をだいぶ過ぎたご婦人で、この悪天候にもかかわらず気分が良いのか車いすに座っていた。 診察を終え、持っていった絵手紙で話が盛り上がり、どのくらいの時間がたっていただろうか? 車に戻った時、すぐ近くの海から物凄い潮風が吹き込んできた。 何となくイヤな予感がしたが、もう一軒往診先があるので、勢いよくキーを回して車を走らせた。

車が国道まで出るには、さっき下った坂の倍の勾配を上って行かなければならない。 走り始めてまもなくオートドライブ(D)での走行が難しくなり、ギアを2段か低速に入れないと馬力が出ないことに気がついた。 ますますイヤな気持ちが増してきたが、その坂を登りきらないと国道までもどれないんです。

何とかやっとの思いで国道との交差まで来たが、あいにく国道を行きかう自動車がいたので、こっちの方は一時停止しなければならない。  走り去った車の後に続くように勢いよく国道へ往診車を乗り入れようとアクセルを踏んだが前に進まない。 バックにギアを変えて少し後退してから、弾みをつけるように勢いよくアクセルを踏んだ。

ところが、同じくさっきの所までしか車は進まない。 同じことを何度かやったが、結果は同じだ。 外に出て車の前に周り見たら、もうタイヤの半分以上は除雪ブルトーザが残して行った硬めの雪に埋もれていた。 これではもう車はニッチもサッチも動かない。 あとは積もった雪を取り除くしか方法がない。

だが、うっかりしたことにスコップなど必要な道具を積んでいないことに気がついたが、フロントガラスの雪を払う箒棒ですこしでも雪をかきだそうと試みたが、岬の突端だから突風は物凄い勢いで襲いかかってきます。 みるみる体温が下がっていくのがわかるんです。 手はかじかみ顔はビリビリ痛みます。 もう駄目です。 オガクリにいる事務長に連絡し救助を依頼した。 

結局、ブルトーザが来てくれ、ワイヤーロープをつないで引っ張り上げてくれた。 その間、そこを通りかかった車や人も手助けしてくれました。 一時は「八甲田雪中行軍遭難事件」を連想させるような事態になったから、救助して下さった方々に感謝の気持ちで一杯です。 有難いことです ネ