2011年1月8日土曜日

ピロリ菌と胃がん(3)

年代別のピロリ菌感染率(「胃の病気とピロリ菌」より)
ピロリ菌がどこからどのようにヒトの胃に感染するのか、まだ十分にわかっていません。 極端に酸素の少ない環境(嫌気性)を好むことから、汚染された水が原因である可能性が高いと言われています。

健康な人のピロリ菌感染率は、年代が増すとともに上昇するが、国や地域で大きな差が認められています。 一般に、衛生環境の良くない開発途上国では、若い年齢層からすでに感染率が高く、年代別変化もあまり認められないそうだが、欧米諸国の若い年齢層の感染率はきわめて低く、年令を経るごとに、わずかに増加する傾向にあると言われています。 

日本では欧米諸国と開発途上国の中間のパターンを示しているという「年代別のピロリ菌感染率」の結果が1990年代前半に北大第三内科の研究グループから発表され、大きな反響がありました。 さらに、米国では所得格差による感染率の違いがあり、裕福な層は感染率が低い傾向がみられます。

ところが、日本では地域や収入の差による感染率の違いがみられないことから、日本の衛生状況は世界に例を見ないほど格差がないという証拠にもなり、誇っていいことだと北大第三内科浅香正博教授は力説しています。  (次回は、ピロリ菌の胃粘膜障害について)