2011年1月9日日曜日

ピロリ菌と胃がん(4)


ピロリ菌が胃の中で存在できるのは、胃酸から逃れていられるからです。 胃粘膜のヒダの奥にもぐりこんで、胃粘膜が分泌する粘液を栄養源にして生き続けています。 数本のべん毛を使って動き回っていると見られています。

ピロリ菌は自からウレアーゼと呼ばれる酵素を発生させ、胃粘膜にある尿素をアンモニアと二酸化酸素に分解します。 このアンモニアは強アルカリ性ですから、強酸性の胃酸を中和し、菌自らに都合のいい快適な環境を作ることができるのです。  もっとくわしく説明すると、ピロリ菌が中性と酸性領域の2つのPHを持つウレアーゼを放出し、それ自体が胃の粘膜障害を起こすのであって、ピロリ菌そのものが胃に刺激を与えるのではありません。 


また、「分泌酵素」と呼ばれるムチナーゼやプロテアーゼも同様ですし、ピロリ菌の最外殻に存在するリポ多糖、線毛に類似したIV型分泌装置によっても炎症が発症します。


さらに、ウレアーゼ以外にも胃に悪影響を及ぼす物質を発しており、細胞の空胞化を起こす毒素もそのひとつです。  この毒素蛋白を誘導する遺伝子をcogAと呼びます。 このcogAを発現させるピロリ菌は毒性が強いことが明らかとなっているが、欧米ではこのcogA陽性のピロリ菌は20~30%にしか見られない。 


一方、日本ではその陽性率は90%を超えていると言われていることから、ピロリ菌の毒性は欧米の菌に比べてはるかに強いのです。 


その後、cogA遺伝子を胃粘膜上に発現させると、胃粘膜細胞の形態を変化させること、つまり癌化させることが明らかになり注目を浴びています。 つまり、この毒素こそが慢性胃炎、消化器潰瘍、胃癌の本当の病原体と言われています。 (次回は、ピロリ菌と塩分の関係について)


(5) ピロリ菌