浅香正博 著 |
その中で、胃がん検診は、日本だけで行われているかなり特殊な検診だそうで、欧米諸国では胃がんの発生率が低いため、そもそも検診の必要性がないと言います。
2004年にカナダで「世界消化器病会議」が行われた時の発表では、欧米を含む他の国の5年生存率は20%前後なのに対し、わが国だけが60%に達していたそうです。 浅香先生は、その理由として、わが国の胃がん検診システムが有効に機能していて、早期胃がんを発見できていると説明したそうです。
だが、実際は検診のみで優れた5年生存率が得られたという訳ではなく、器用な消化器内科医・病理医・優秀な外科医らの存在も大きいと考えられます。
さらに胃がん検診を費用対効果で見ると、40歳代では一人の胃がんを見つけるのに約100万円かかると言われ、50歳代では50万円に下がり、60歳代以降は10万円になると言われています。 40歳代の10分の一に減少した訳で、その点からだけ言えば、胃がん検診は60歳代から行うのが最も適していると論じています。
しかし、その胃がん検診の受診率は10%前後と低迷しており、現在の方法(胃のバリウム検査)での検診では50%代まで受診率を上昇させることは困難だと思われます。 感度の点や被ばく量の事も考慮をすればそろそろ検診の発想の転換を図る時期にきていると先生は力説しています。
より良い胃がん検診法を導入する時期に達していると考えられます ネ
(次回は、検診法について)