2011年1月21日金曜日

お年玉

今月5日道新朝刊の當瀬規嗣札幌医大教授の『生きるしくみ』(215)は、“お年玉”と題して、動物の報酬系の話を書いていました。

動物(もちろん人間も含めて)は、何か自分に利益のある事・物などがある時、自然とワクワクした状態になり、脳では快感を生み出す報酬系と言われる部分がはたらいていることが分かっています。 

小さい頃から、お正月になれば“お年玉”をもらえるという期待感ができあがり、気持ち良くお正月を迎えるために掃除もいとわずにやり、結果として“お年玉”をゲットすることになるという訳です。 

これに限らず、何か頑張ったら報酬がもらえると分かれば、人は困難を乗り越えるものです。 が、報酬目当てに何かしても上手くいかないもので、報酬を期待するあまりだめなものなんでしょう。 難しいものです・・・。


脳MRI画像(赤サークルが側座核)
さて、この脳内報酬系の中心はどこかと言えば、「側座核」という直径2ミリの小さなもので、「やる気の脳」とも呼ばれる部分です。 脳のある部位から「なにか始めよう」という指令を受けると、側座核は扁桃核や海馬と相談しあいながら、それが好きなことであるか否かを判断し、やる気を出すかどうか決めるのです。

また、側座核は性的刺激やある種の薬物(麻薬やアルコールなど)によって引き起こされる「ハイ」な感覚とも関連していることも分かっています。 覚せい剤など依存性を有する薬剤の大部分はドパミン賦活作用を持っていることから、報酬系はドパミン神経系ともいわれている。

報酬系の働きは、学習や環境への適応においても重要な役割を果たしています。 「褒めて育てる」という子育て論は、CTやMRIがこれ程までに進歩・発展しなかった昔から、誰かれとなく言われていた名言です ネ