昨年、「メタボの仕組み解明」という新聞報道がありました。 東京大学の循環器内科のグループが、米医学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した内容を伝えたもので、マウスの脂肪組織を染色し、生きたまま可視化する方法を開発することによって、高脂肪食を与えたマウスの内臓脂肪とその周囲の細胞で炎症が起きる経過を調べることができたそうです。
その結果、肥満した脂肪組織では免疫細胞の一つ T リンパ球が増加し、これがマクロファージという細胞を呼び寄せ、慢性炎症を起こす引き金になっていたというわけです。
一方、T リンパ球を除去したり、もともとTリンパ球を持たないマウスでは炎症はほとんど起きなかったし、こうしたマウスにT リンパ球を外から補充すると炎症が起きることも分かったそうです。
研究チームの真鍋一郎特任准教授によると、肥満だけでなく、動脈硬化も「慢性炎症」が原因となっているほか、がんやアルツハイマー病などでも関与が指摘されていると言います。
ところで、T リンパ球と言えば、「サプレッサー」と「ヘルパー」の二つの亜群に分けられることを世界に先駆けて証明したのは、元東大の免疫学の教授だった多田富雄先生です。 1970年代のことで、「免疫学」が目覚ましく進歩・発展していた時期でもあり、若い研究者達(わたし達も)が夢を追いかけていた年代でもありました。 その後の多田先生は、脳梗塞になり、半身まひとなったが、「能舞」にかける意気込みは凄まじく、その情熱は介護リハビリのための入院期間制限の問題にも向けられて、文筆や講演活動などでも活躍されています。
先生の物腰はたいへん穏やかで、たしかスコッチウイスキーが好きだったと思いました・・・ガ