2010年1月17日日曜日

新年医学研修会

1/17(日)
 渡島医師会の新年交例会が昨夜、函館市内で行われました。 ひどい吹雪の悪天候にもかかわらず、例年よりも多くの会員が出席してくれました。

 それに先だって、「新年医学研修会」を、札幌から菊池健次郎(旭川医科大学名誉教授)先生をお招きして行ないました。 『大規模試験を本音で評価しよう』というタイトルで、約一時間半の講演でした。

 先生によりますと、循環器科において、特に高血圧に関しての日本発の大規模臨床試験は10くらいあるが、諸外国から認知され、信頼された大規模試験は少ないということでした。 むしろ、試験で比較するエンドポイントとして挙げている項目がソフト(不整脈とか病院へ入院したとか)の方が多く、ハード(心筋梗塞や脳卒中や死亡)のエンドポイントで評価していない点、信頼されていないんだと力説し、しかも『Lancet』や『JAMA』と言った外国の一流雑誌に送った原稿がリジェクト(除外、掲載不可)されたという事実もあり、日本での研究のありかたに不信感を持たれているということも話してくれました。 

 降圧薬の種類は多く、そこに新薬が発売されると、とかくその利点だけが喧伝されるため、少しでも早く充分な降圧をしてくれるように、そうした薬を処方しがちであるが、「大規模試験」の結果を鵜呑みにしなで、納得いくまで薬の説明を受けて使用すべきだという話なのです。

 講演の内容は、菊池先生の臨床や研究に対する理念(真実や本質を見極める)で一貫しており、そのことはわたしたちの日常の診療態度にも通じる事だと感じました。

 氾濫する情報の中からどれが正しく、なにが不実なのかを見極めれる“観察力”を養うことが必要ですし、菊池先生のような「ご意見番」の話を聞く機会を多く設け、正しい診療ができるよう心がけることが最も大切だと、「新年」にあたって考えさせられました ヨ