今年の初めから、松本清張の生誕100年の話題が何かとニュースになっていた。 文芸評論家の権田萬治さんが道新(11月19日夕刊)に「社会派の時代は終わっていない」と題して論評を載せていました。 薄幸の人々に深い共感を持って作品を書いていると論じ、光よりも影、明るい世界よりも暗い闇の世界に瞳を凝らした作家だったとも述べています。
清張は一人っ子でしたが、家が貧しかったため、高等小学校を卒業すると同時に、毎日が大人に囲まれての仕事に追われる日々を過ごして、甘い青春など無いに等しかったといいます。 さらに文学にめざめてから、プロレタリア文学運動の機関誌「戦旗」なども読んでいたためか、左翼運動の一員と誤解され、小倉署に検挙されて拷問を受けるという苛酷な体験もしたそうです。
そうした若いころの暗く辛い経験が、作風に強く反映しているものと言われています。 芥川賞を受賞した「或る『小倉日記』伝」はじめ、「西郷札」等経て、快調に執筆活動を続けて、「点と線」「ゼロの焦点」そして「砂の器」などとベストセラーが山ほどあります。 「点と線」は、最近たけしさんが主演したTV番組が放映されて、まさに鉄道トリックの妙に感嘆しました。
だが、映像になった作品といえば、わたしは何といっても映画「砂の器」がベストだと断言します。 故郷を追われた父と子が安住の地を求めてさまよう美しい風景描写は、何度見ても頬を伝うものが・・・ 。
小さい頃の放浪していた主人公(加藤剛)ではないかと、一目会いたさに東京の蒲田で待ち合わせをした巡査役の緒方拳にも感動して観た想い出があります。
ところで、清張と同じく生誕100年を迎えた作家はまだまだ多いと思いますが、彼もいれて1909年生まれの有名作家5人は誰かと聞かれて、わかりますか?
清張さんの他に、太宰治・中島敦・大岡昇平・埴谷雄高さんです。 超有名な方々です ネ