2010年6月6日日曜日

ピロリ菌と胃がん

6/6(日)

 最近ではピロリ菌の話題は知らない人がいないくらい新聞、テレビ、雑誌などどこにでも取り上げられています。 しかも胃がんとの関連が指摘され、その菌の発見者がノーベル賞を貰うまでアットいう間だったように思います。 たかだか21~2年でした。

 元北大の教授で現東大の微生物学の畠山昌則教授が、胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌が自ら作る発がんタンパク質のCagA(キャグエー)を胃の細胞の中に送り込むメカニズムを初めて解明したと新聞報道がされました。 今後、CagAの侵入を阻止できるようになれば、ピロリ菌除菌とは別の新たな胃がん予防法につながる成果だと期待されると考えられています。

 ピロリ菌には遺伝子型によって、東アジア型や欧米型などあり、東アジアに広く分布している東アジア型ピロリ菌は、そのCagAが胃粘膜の細胞内の別の2種のタンパク質(SHP-2など)と結合することで発がんするため、より胃がん発症率が高いと見られています。 

 さらに、ピロリ菌の遺伝子系統樹を研究することにより、世界の諸民族がどのように移動してきたかも科学的に推測できると考えられていて、興味の尽きない話題ばかりです。

 ピロリ菌は、らせん状(ヘリコ)の細菌で、人には口から感染し、強酸の胃の中に棲みついている何とも不思議な菌です ネ