
医師向けの週刊誌に『日本医事新報』という雑誌があります。
今年の4月4日号(No.4432)に、日野原重明先生の講演録が載っています。 「私が内科医として多年行ってきた臨床医学のエッセンス」という文章で、第1回睡眠と心臓血管研究会で話された講演内容をまとめたものです。
腹を上に向けて,仰臥位で眠る高等動物はヒトだけで、その姿勢で眠ることは不自然だと日野原先生は考えています。 先生は、腹臥位(腹ばい)で眠るとリラックスできるそうです。
動物の系統発生を、ヒトはその成長過程で繰り返すわけで(図 1)、「睡眠中の自然な体位は腹臥位だと思います」 と語っています。
腹臥位研究の歴史は浅く、まだまだエビデンスに乏しいというものの、「理にかなっている」ことは随分と多いものです。 生まれたばかりの赤ん坊をお母さんの胸の上で腹ばいに寝かせたり、脳卒中やパーキンソン病などの慢性疾患のリハビリにも腹ばいが有効であったという報告があります。
過度の安静は、筋肉の廃用性委縮、間接拘縮や骨粗しょう症を短期間に進行させ、転倒などでさらに骨折を併発させやすくするという悪循環をきたします。 そうならないためには、病人をまずベットから起こし、座らせ、立ち上がらせることで、腹ばいが、その契機になるとも述べています。
日野原先生は白寿に近い年齢ながら、講演や公開討論会などの仕事もおこなっている“現役”です。
すばらしいの一言です ネ