2010年12月18日土曜日

アニサキス

中央の腫れた胃粘膜に虫
始めて医療画像を載せます。

今朝お腹が痛いと「オガクリ」に受診した方の「胃カメラ(胃内視鏡)」の写真です。  昨夜イカの刺身を食べたと話したので、もしや“虫”が刺さったのではないかと、急遽胃カメラを行いました。  すると案の定、胃の真ん中あたりの粘膜が幾重にも腫れていて、その腫れた粘膜のひだの一部にやや白色透明な細長いひも状の虫(アニサキス虫)を確認しました(写真-上)


刺さった虫を摘む
胃粘膜に刺さったその虫を生検かんしで摘まんでみると、摘まれた虫は、生きているので丸まって見えています(写真-中)




不思議なことに、刺さった虫を取り去った後の胃粘膜は、まもなくすっかり腫れが引けてしまっています(写真-下)

激しい腹痛ばかりでなく、何となくモヤモヤした胃の不快感という表現をする人もめずらしくありません。 また、じんま疹のようなかゆみを伴った胃痛を訴えて受診する人もおります。
虫を取り去った胃粘膜 

アニサキス(学名:Anisakis simplex, A. physeteris, Pseudoterranova decipiens)の成虫は本来、クジライルカなど海棲哺乳類の胃に寄生し、その虫卵は糞便とともに海中へ排出されます。 海中で孵化した第2期幼虫は中間宿主であるオキアミに摂取され第2期から第3期幼虫となり、待機宿主のサバやイカなどで生きています。 それを再びクジラらが摂取するサイクル(食物連鎖)を自然界は形成しています。


ヒトがこれら待機宿主の魚介類を生で食べるても、そこに寄生している幼虫は成虫にはなれず、幼虫が胃壁(胃アニサキス症)や腸(腸アニサキス症)に穿入して、激しい腹痛をおこすのです。 


魚を食する土地ならどこでも存在する病気で、わが国でも多くみられる寄生虫症のひとつです。  私も、一度この虫にあたったことがあります。 夕食に食べた手巻き寿司のネタに虫がいたようで、翌日の明け方、胃のあたりが妙に不快な感じと吐き気がして目が覚めました。 激痛ではなかったが、状況から判断して「アニサキス」と直感し、あいにく旅行中だったので胃カメラはできなく、ある事をして虫退治をしました。


この「ある事」とは大変簡単で、有効な手段なんです。 機会があれば、ゆっくり教えましょう カ